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まいぷれ新居浜編集部ニュース

【にいはまサーモン】新居浜を元気にしようと、大島沖で養殖サーモン事業に取り組む西原さんにインタビュー

新ブランド「にいはまサーモン」誕生秘話! 

※本記事の内容は、掲載当時の価格・情報となります。

※価格は税込表記です。

一昨年の2021年冬から、新居浜市の沖合・大島沖でサーモンの試験養殖がスタートしました。(愛媛県の実証実験として)。

 

名付けて「にいはまサーモン」!

 

昨年(2022年)の4月には、数ヶ月の間、燧(ひうち)灘の海で大切に育てられた「にいはまサーモン」の待望の初出荷があり、約1ヶ月の間に全てのサーモンが出荷されたそうです。

 

そして事業開始3年目となる今年(2023年)もまた、5月のゴールデンウィーク明けに生け簀で丹精込めて養殖された約4400匹、全てのサーモンの出荷が完了しました。

 

この「にいはまサーモン」の試験養殖に取り組んでいるのは、地元の電気工事業「アイセイ電工」の代表取締役社長の西原裕也さん(38歳)です。

 

大島沖の生け簀の様子

アイセイ電工 西原裕也社長 38歳

電気工事会社から、魚養殖という異業種参画

新居浜生まれ、新居浜育ちの西原さんが、「にいはまサーモン」養殖事業を思いついたのは、約3年前のこと。

 

それまでも、生まれ育った大好きな街・新居浜のために、なにか恩返しできないとずっと思い続けていたそうです。

 

西原さんは語ります。

「最初は農業をしようと思っていました。でも、やり方も分からない、ツテもない中、ひょんなことから、たまたま漁協さんとつながりがあり、漁業に興味を抱きました。市に相談したところ、『愛媛県の方にも相談したらどうでしょうか』とアドバイスをいただき、南予で養殖事業を行っている宇和島プロジェクトを紹介されました。そこから先は、あれよあれよという間に話が進み、結局、トラウトサーモンの試験養殖を行うことになりました」

 

 

 

養殖に向かないと言われていた「燧(ひうち)灘」がサーモン養殖の楽園?

これまで、新居浜沖の燧(ひうち)灘は、魚の養殖ビジネスが盛んな宇和海と比較すると、魚の養殖には不向きだと言われてきました。そのため、燧(ひうち)灘での養殖はこれまでほとんど行われていませんでした。

 

ところが、西原さんから、燧(ひうち)灘での養殖の相談を受けた宇和島プロジェクトのメンバーは燧(ひうち)灘の、ある特長に着目しました。

 

サーモン養殖に向いていた燧(ひうち)灘の意外な「特長」とは?

サーモン養殖に向いていた燧(ひうち)灘の意外な「特長」、それが燧(ひうち)灘の水温でした!

 

サーモンは、冷水性の魚で生長に最も適した水温は9度~18度と言われております。

 

すでに事業化されている宇和海でのサーモン養殖(宇和島プロジェクト)ですが、昨今の地球温暖化の影響もあり、現在の南予エリア・宇和海の4月の水温は17度~18度。つまりサーモンが生育するギリギリの水温にまで上昇しているそうです。

 

一方、新居浜沖の燧(ひうち)灘は、宇和海より緯度が高いこと、また、西に来島海峡・東に鳴門海峡と、激しい海流で知られる2つの海峡に挟まれた海流の影響もあり、4月でも平均水温は11度から14度であることから、サーモン養殖に向いている可能性が高いとの判断により、試験養殖がスタートしたのです。

インタビュー

――異業種からの転身の苦労

 

西原さん:

「最初は、漁業権についても何も知らないずぶの素人でした。ですが、たくさんの人と人のつながりのおかげで、『にいはまサーモン』の養殖をすることができています。事業を始めた当初は、せっかく養殖したはいいが、一匹も売れなかったらどうしよう、売れ残ったらどうしようと不安でしたが、おかげ様で2年連続、完売することができました」

 

――たくさんの人からの協力体制があってのものなのですね!

 

西原さん:

「はい。漁協の皆さん、行政(新居浜市・愛媛県)の協力も取り付けることができました。そして宇和島プロジェクトのご協力で、養殖そのものだけでなく、出荷先もご紹介していただき、今では、松山にある宇和島鯛めしの名店『かどや大街道店』さんに卸すことができています」

 

 

――養殖の苦労をお聞かせください

 

西原さん:

「全ては試行錯誤でしたので、苦労ばかりです。

特に大変なものとしては、毎日の餌やりがあります。

毎日200キロの特別配合された飼料を、自分の船で、新居浜の海岸から大島沖の生け簀まで運び、給餌器を使って4400匹のサーモンに食べさせます。そして生け簀の掃除を毎日します。悲しいことですが、毎日、どうしても死んでしまうサーモンがいますので、その死骸を処理します。だいたい、この作業で毎日3時間はかかります。台風などで船が出せないほどの悪天候以外は毎日です」

 

雨の降る中、生け簀での作業風景

――にいはまサーモンの養殖について、もう少し詳しくお聞かせください

 

西原さん:

「燧(ひうち)灘での養殖は、最初は不安だらけでしたが、蓋を開けてみたらサーモン養殖にとても適していることが判明し、ホッと安堵したのを昨日のことのように思い出します。

 

燧(ひうち)灘の生け簀に入れる前は、わずか800グラムだった稚魚が、たった4ヶ月の生け簀養殖で、体長60センチ、重さは大きいものだと5キロまで成長してくれました。これには、宇和海でサーモン養殖をしている『宇和島プロジェクト』のサーモン養殖の先輩方も驚いていました」

(編集部注:生食可能な国内産養殖サーモンの平均出荷サイズは、約2キロとされるので『にいはまサーモン』の成長ぶりはとても優れていると思われます)

 

出荷時の「にいはまサーモン」  3.68キログラム!

出荷時の「にいはまサーモン」  こちらも立派に成長しています

――食べられる場所は?

 

西原さん:

「今は、宇和島プロジェクト関連で松山市内の宇和島鯛めしのお店「かどや」さんが中心ですが、新居浜市内でも『にいはまサーモン』を調理して出してくれるお店が徐々に増えていってくれるのが嬉しいですね」

 

これから

――これからの展望は?

 

西原さん:

「現在は試験養殖ですので、早くビジネスとして定着できるよう、頑張るしかないと思っております。将来的には今1つの生け簀だけなのですが、3つに増やす予定です」

 

取材後記

約1時間の短い取材時間でしたが、西原さんの「にいはまサーモン」に賭ける熱い想いに、取材する側も深い感動と感銘を受けました。

 

我々「まいぷれ新居浜編集部」では、今シーズン(2023年11月~2024年5月)の、「にいはまサーモン」の生け簀養殖の実態を密着取材したいと考えております。

 

「まいぷれ新居浜」は、今後も「にいはまサーモン」を応援します!

西原さん、今回はインタビュー取材、本当にありがとうございました!

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。