辿ると明治22年(1889年)からの歴史がある「伊予銀行大洲本町支店」。
伊予銀行大洲本町支店は、明治22年の大洲銀行設立以来、長年地域のお客様に親しまれ、令和元年(2019年)6月26日には130周年を迎えた、伊予銀行の中でも3番目に古い支店です。
この度、人口減少・少子高齢化に伴う利用者数の減少や国内情勢の変化等に伴い、2021年1月22日(金)をもって窓口での業務を終了し、大洲支店内に移転することとなりました。
大洲市では、明治時代に製糸産業が拡大し、多数の正繭取引が行われていました。取引量の増大に伴って、取引額も多額に上ることから金融機関の必要性が高まり、明治22年に大洲銀行が設けられました。その後、更に拡大する製糸業に資金供給を行うため、明治34年には大洲商業銀行が開業しました。(現在のおおず赤煉瓦館)。その後、両行が合併、他の銀行との統合なども経て、現在の伊予銀行大洲本町支店となりました。
愛媛県南予地方の中心地として、古くから発展を遂げてきた大洲は、製糸業以外でも、手すき和紙の「大洲和紙」・木蝋が有名です。また江戸時代初期、日本の陽明学の祖といわれる、儒学者近江聖人・中江藤樹が27歳まで大洲で暮らし、勉学に励み、門人たちに「大学」を教えたこともあり、大洲は、明治以降も数々の偉人を輩出しました。国学者の矢野玄道、明治憲法制定に尽力した香渡晋、シーボルトに仕えた医学者の三瀬諸渕、函館五稜郭を設計した武田成章らはみんな、大洲の出身者であります。
大洲はもともと、伊予を南北につなぐ大洲街道と宇和島街道の結節点にあり、またすぐ西には、大洲の外港ともいえる八幡浜があり、古くから交通と産業の要の地点でありました。伊予宇都宮氏、藤堂高虎らによって築かれた大洲城を中心に町は発達を遂げました。
明治中期、大洲の町に生まれた一人の女性・浅尾はなを主人公に、激動の明治から大正・昭和を、数々の試練にもめげず、明るくたくましく生きるシングルマザーの暮らしぶりをユーモラスに描いた、NHK連続テレビ小説「おはなはん」の舞台に取り上げられたことで、伊予銀行大洲本町支店の周辺には「おはなはん通り」もあり、数多くの観光客が訪れるようにもなりました。
製糸業を中心に、肱川のもたらす肥沃な土壌を利用した農業も発展を遂げ、大洲市は、南予地方有数の商業都市として隆興を極め、人口が増加していった戦前。全てを失いつつも皆明日を夢見て働き、日を増すごとに豊かになり、モノが飛ぶ様に売れたという戦後。モータリゼーションの急激な発展と第一次産業の衰退に翻弄される形で、モノと人の流れが大幅に変化した昭和後期、そして平成・令和の現代。
その4つの時代の栄枯盛衰を、大洲の中心地である「本町通り」で、伊予銀行大洲本町支店は、銀行という立場から見つめてきました。
そんな大洲市のランドマーク的存在の消滅が、大洲の商業史に与える影響は大きいと思います。
現実的な話では、大洲本町支店の口座を持っている方はどうなってしまうのでしょうか?
大洲本町支店の長い歴史の一端もご紹介します。
閉店ではなく移転となります
大洲本町支店への店名変更(1981年5月)
新しく大洲支店の開設に伴い、「大洲本町支店」へ店名を変更しました。
大洲の町並みにマッチした新店舗の誕生(1985年5月)
伝統の町並みに合わせたデザインの瓦葺き白壁の建物で、前庭には地域の方々との触れ合いを大切にするコミュニティ広場「ふれあいプラザ」を設けました。
担当エリアは主に肱川橋から南の肱南(こうなん)地域で、「誰にでも親しまれ、どこよりも信頼されるコミュニティバンク」を目指して、地域の繁栄と発展を共にすることをモットーに営業活動をしています。
伊予銀行大洲本町支店の新築工事は、地元事業者の村上工業株式会社で施工されました。
■着工:昭和59年10月1日
■竣工:昭和60年5月13日
■敷地面積:1174.31平方メートル
■建築面積:409.52平方メートル
■延床面積:530.57平方メートル
■構造概要:鉄筋コンクリート造2階建て
大洲本町支店は、名実ともに地域の皆さんから大切にされ応援される店舗です。有志の方々で発足された「大洲本町支店を育てる会」があり、定期的に懇親の場を設けて、情報や意見の交換をしていました。
新春の鏡開きは、支店の2階を会場にして、毎年恒例の行事として長く続けられました。
2021年1月22日(金)に現在の場所での窓口営業は終了となりますが、「大洲本町支店」(店番号304)という名称は残り、すぐ近くの大洲支店内に翌週1月25日(月)に移転するということになります。
その為、大洲本町支店の口座を窓口営業終了後に持っていても、これまで通り支障無く使用でき、口座番号の変更もありません。
特別な手続きがある場合でも、大洲支店が対応窓口となるので大丈夫です。給料や年金の受け取り、支払いの引き落とし等、口座番号に変更はありませんので、そのまま使えます。
現在の大洲本町支店の基本情報
伊予銀行 大洲本町支店(2021年1月22日(金)まで)
- 店番号
- 304
- 住所
- 〒795-0012
愛媛県大洲市大洲38番地
- 電話番号
- 0893-24-3111
- 窓口営業
- 平日 9:00~15:00
- ATM営業
- 平日 8:45~18:00
土曜 8:45~17:00
新しい大洲本町支店の基本情報
伊予銀行 大洲本町支店(2021年1月25日(月)から)
- 店番号
- 304
- 住所
- 〒795-0054
愛媛県大洲市中村603-2
伊予銀行大洲支店内
- 電話番号
- 0893-24-3121
- 窓口営業
- 平日 9:00~15:00
- ATM営業
- 平日 8:00~21:00
土曜 8:45~21:00
日祝 8:45~21:00
※住所や電話番号は、大洲支店と同一になります。
すぐそばにある肱川橋からの眺めは、東に冨士山(とみすやま)、西に大洲城が望め、透き通る清流肱川の水面と相まって、とても美しい情景が広がります。古き良き日本が感じられる、あたたかでどこか懐かしい風景、散策をしていると心がほっと和むのを感じます。
お問い合わせ
- いよぎんテレホンセンター
TEL:0120-64-1414
- 伊予銀行 大洲本町支店
TEL:0897-24-3111
- 伊予銀行 大洲支店
TEL:0893-24‐3121
もうすぐ見納め! 昭和の銀行の雰囲気漂う支店
伊予銀行さんにお願いして、営業中の大洲本町支店店内を撮影させていただきました。
大洲本町支店の歴史は、明治22年(1889年)に伊予銀行の前身の一つである「大洲銀行」が、大洲銀行本店として開設したものが始まりです。
大洲本町支店の歴史
- 明治22年(1889)6月26日
前身の大洲銀行本店として開設。
- 昭和9年(1934)8月20日
合併により、豫州銀行大洲支店となる。
- 昭和16年(1941)9月1日
合併により、伊豫合同銀行大洲支店となる。
- 昭和20年(1945)3月17日
大洲西支店の廃止により、その業務を継承。
- 昭和24年(1949)8月11日
新谷支店の廃止により、その業務を継承。
- 昭和46年(1971)12月1日
大洲支店鹿ノ川出張所の廃止により、その業務を継承。
- 昭和54年(1979)7月11日
大洲支店フジ大洲店出張所(店舗外CD)を開設。
- 昭和56年(1981)5月11日
大洲本町支店と店名変更と同時に、フジ大洲店出張所(店舗外CD)を新・大洲支店に移管。
- 昭和59年(1984)8月27日
店舗新築のため、大洲市大洲字本町3丁目北62に、仮営業移転。
- 昭和60年(1985)5月13日
大洲市大洲38番地に新築復帰。
- 平成6年(1994)9月5日
新・大洲支店(旧・東邦相互銀行大洲本町支店)の廃止により、その業務を継承。
地元の方に愛され親しまれ続けた大洲本町支店。現在の場所での窓口営業を終了しても、大洲本町支店の流れを汲んだ「大洲支店」がこれからも大洲の主要支店として存在する限り、大洲本町支店の歴史は終わる事は無いでしょう。
大洲本町支店を長らくご愛顧いただいた大洲肱南エリアの皆様、これからも伊予銀行大洲支店をご利用ください。