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聞いた事の無い「自主防災組織」という名前。自主防災組織の役割や現状・抱える課題等を、先日行われた治良丸地区の自主防災会の様子からご紹介します。
近年多発するゲリラ豪雨や地震などの災害による被害を、消防署や消防団などの力に頼らず自分達で身を守る、「自主防災組織」の取り組みが注目されています。
自主防災組織の役割や現状・抱える課題等を、先日行われた治良丸地区の自主防災会の様子からご紹介します。
自主防災組織とは?
自主防災組織とは、地域住民が「自分たちの地域は自分たちで守る」という意識に基づき自主的に結成する防災組織です。
治良丸地区の場合、治良丸自治会の内部組織として「治良丸自主防災会」が存在しています。
消防署や消防団との違いは、彼らが公務員であるのに対し、自主防災会はその地区に住む自治会員が自主的に組織しているという所です。
各組織の違い
- 消防署員→地方公務員
- 消防団員→地方公務員(非常勤)
- 自主防災会員→自治会員
治良丸自主防災会議の様子
2018年12月8日(土)19:00。
治良丸自治会館で12月の自主防災会議が開かれました。
会議には治良丸地区の自治会員計15名が参加し、うち5名は治良丸地区内にある5つの小地区(組)から選出された自治会役員・民生委員の方、地区内の水利を管理する治良丸土地改良区の方1名、残り9名は防災士の資格を持つ治良丸自主防災会の方達です。
今回の議題は、前回行なった避難訓練についての意見と今年度購入予定の非常食・防災用品の購入、来年度の後継役員についてです。
防災用品の購入の場面では、「アレルギー対応食品について、外装に大きく記載する等の対応が必要」といった意見や、「感染症防止の為のマスク・サバイバルシートの買い足しを行いたい」といった共有事項の報告が行われました。
しかし、自治会の全体予算の中から捻出された年間10万円という防災予算のうち、7万5千円を非常食の購入で消費してしまうという事もあり、非常食以外の防災用品購入に難儀しているそうです。
来年度の防災役員については、出席する自治会員の負担を減らす為に役員の数を現状の23名から20名に減らすとともに、自治会員で役員ではない防災士の方も、避難訓練等の時に非常勤の様な形で協力してもらうという方向性が決まりました。
会議の様子を聞いていると、一部ではなく多くの方が自分の地区の防災について真剣に考え、活発に議論がされている様に感じました。
治良丸自主防災会の取り組み
防災会議終了後、治良丸自主防災会の詳しい取り組みについて防災士の方から詳しく聞く機会がありました。
防災士のみなさん、ありがとうございました!
治良丸自主防災会の防災士の皆さん。
『防災士』とは、防災に対する意識と一定の知識・技能を持っていることを認証する民間の資格で、近年防災意識の高まりの中で注目されている資格です。
自主防災会を立ち上げたきっかけ
新居浜市上部地区の標高100m付近の高台に位置する治良丸地区は、約370世帯(うち自治会構成世帯約320世帯)が住み、他の地区と同じように高齢化が進み、独居世帯・空き家が年々増加。
今後発生するといわれている南海トラフ地震が起これば、木造家屋を中心に多くの建物で被害・人的被害が予想されています。
大きな幹線道路も通っておらず、南消防署から約4km、中萩分団詰所から約2km離れており、市内全域で被害が発生した場合、消防署や消防団によるスムーズな援助は期待できないと、住民は薄々危機感を感じていました。
そんな中、2011年、決定的な出来事が起こります。
東日本大震災が発生した際に東北地方各地のため池が決壊し、下流地域に重大な被害が発生した事から、地区内に2つ池がある治良丸地区も他人事では無いと住民たちが思い立ったことがきっかけで、自主防災会設立への機運が高まりました。
「自分たちの地域は、自分たちで守る」という信念のもと、自助・共助の心を大切に、地域一丸となった防災体制を構築する為に理想の組織体制が検討され、治良丸地域の水利を管理する「治良丸土地改良区」と「治良丸自治会」合同の組織として「治良丸自主防災会」が結成されました。
防災訓練の様子。
治良丸地区では年2回避難訓練を実施しています。
全国的にも稀な土地改良区合同の自主防災組織
治良丸自主防災会の一番の特徴は「土地改良区」と合同の組織であるという所です。
土地改良区とは、主に農業用地や水利施設・農道の維持管理・整備を行う団体で、治良丸地区では「治良丸土地改良区」が地区内に2つある池や水路・農道を管理しています。
ちなみにこの2つの池は、それぞれ地震などで決壊などの被害が発生した場合、治良丸地区に甚大な被害を与えると想定されています。
また、地震等で消火栓や防火水槽が使用不能になった際に、土地改良区の管理する水路を活用して火災発生箇所まで消火用の水を送水する事も可能となります。
さらに、1人暮らしや介護などが必要な高齢者を支える民生委員がメンバーに加わっている事もポイントです。
また、災害時に活動する消火班・救出救助班・避難誘導班・給食給水班などの編成も日頃から決まっており、いつ災害が発生してもすぐに救援活動に従事できるようになっています。
治良丸地区盆踊りの様子。
少子化の影響で一度途絶えていましたが、地域の結び付きを深める為に再度地域行事としてやり始める事に。
地区の結束強化の為に
自主防災を実現させる為には地域の結び付きが不可欠だそうです。
そして結び付きを強化する為には、地域に住む住民の自治会への入会が必要です。
治良丸地区でも、自治会員となるには年間6,000円の自治会費を支払わなければなりません。
ある年までは「自治会に入っているメリットが分からない」という理由から、他の地区と同じく自治会員の減少が続いていました。
自治会に入会しない一番の理由としては、自治会が整備・管理しているごみ集積場を、非自治会員が無料で利用できるという点でした。
この自治会員と非自治会員との不公平感を無くす為、「非自治会員にはごみ集積場を使わせない」というルールを決めた所、自治会員への入会が増加に転じたそうです。
※治良丸自治会に年間12,000円を支払えば非自治会員もごみ集積場を利用する事ができます。
自治会員が増加した事で防災に使える予算にも余裕ができ、以前あった自主防災がやりにくいという空気も変わりました。
また何より一番変わったのは、路上に落ちているごみが少なくなった事だそうです。
こんな所にも地域の結び付きが深まる事によって生まれる好循環を感じました。
その他にも、少子化の影響で一度途絶えていた盆踊りを3世代交流を目的として復活させたり、地区内の危険箇所をみんなで把握する為に毎年「まち歩き」を実施しているそうです。
愛媛労災病院の内川看護師(防災士)を呼んでの女性目線の応急手当講習・体験の様子。
積極的な青壮年部の活動
治良丸自主防災会の活動には、自治会の青壮年部が深く関わっています。
各種自治会活動をサポートする傍ら、防災活動にも積極的に関わり、防災士を取得している自治会員19名のうち、11名が青壮年部員だそうです。
高齢者の多い地域を、若い世代で支えようとしている努力が垣間見えます。
自治会館の受電設備。
発電機を接続すれば停電時でも必要最低限の機能を稼動する事ができます。
まだまだ山積する課題
新居浜市内でも先進的な取り組みを続ける治良丸地区。
自治会館には発電機や投光器、燃料タンク、簡易無線機、炊き出し用コンロ、それに一度に自治会館に避難出来る最大収容人数50~80名が3日間しのぐ事ができる非常食が備蓄されています。
2年前には自治会館の受電設備を改良し、発電機を接続すれば停電時でも必要最低限の冷暖房設備・浄化槽の使用が可能となりました。
しかしまだまだ防災への備えは完璧ではないと、自主防災会の方たちは語ります。
一人で生活しているお年寄りをどう助けるか、応急手当を実施できる会員を増やす為には、軽可搬小型ポンプによる消火活動体制を整備するには…。
挙げ始めればきりがありません。
今回の自主防災会議でも、多くの人が避難訓練に参加できる様、いつも土曜に行っていた避難訓練を日曜にずらす事が決まりました。
防災会の皆さんは今後も「自分の命は自分で・地域で守る」という基本を啓発しながら、地域全体の防災意識を向上させる取り組みを、試行錯誤を繰り返しながら続けて行きます。
全ては治良丸地区での災害時の死者数ゼロを目指す為に。
治良丸自主防災会の皆さん、いつも地域の防災の為に、ありがとうございます!