新居浜アフリカ文化発信人 井上柚子
ウガンダ──「迷子事件」
3回目の陸路旅で最も印象に残ったのは、やはりウガンダでの迷子の話でした。
ルワンダ人の友達の親戚に会うため、乗り継ぎの途中で街へ立ち寄ったさわさん。
ところが、到着した時点でSIMカードは未購入。
つまりネットも地図も使えない状態でした。
なんとか合流できたものの、その後は治安が不安なエリアへ移動。
さらにSIMも開通せず、帰る場所も分からない。
まさに孤立状態です。
この話を聞いていて、ベナンの現地語しか通じない村の美容室で、周りから次々に話しかけられたときのことを思い出しました。
もちろん今回のさわさんほど危険な状況ではありません。
でも、
「何が起きているのか分からない」
というのは似ています。
海外で言葉も情報も失うと、人は一気に不安になります。
だからこそさわさんが徹底している
「減らせるリスクは減らす」
という考え方にはとても共感しました。
冒険と無謀は違う。
行動力がある人ほど、その準備を怠らないのだと思います。
不完全さを楽しむアフリカ
一方で、今回の旅には面白い話もたくさんありました。
ナイル川の源流を訪れた話。
ルワンダで人生初のサウナに入った話。
突然誘われて参加した現地の誕生日パーティー。
どれも共通して感じたのは、
「予定通りじゃないことを楽しむ力」
でした。
特に印象的だったのはサウナの話です。
日本なら温度管理も設備も完璧。
でもルワンダでは蒸気が異常に強かったり、逆にほとんど出なかったり。
完全に“機械の気分”状態。
普通ならクレームが出そうですが、現地の人たちはそれを笑って受け入れているそうです。
私はこの話を聞いて、
「理想的だな」
と思いました。
日本は便利で正確です。
でも時々、その正確さに縛られすぎてしまうこともあります。
少しくらいうまくいかなくても、
「まあ、そんな日もあるよね」
と笑える社会の方が、人は生きやすいのかもしれません。
「おかえり」が教えてくれたこと
今回の話の中で、一番心に残ったのはこのエピソードでした。
以前ボランティアをしていたルワンダのナーサリーを再訪したとき。
子どもたちがさわさんを見つけ、
日本語で
「おかえりー!」
と迎えてくれたそうです。
その瞬間、それまで張り詰めていた緊張がほどけ、涙が止まらなくなったといいます。
この話を聞いて、私も改めて考えました。
「おかえり」って、すごい言葉だなと。
英語にも"Welcome back"はあります。
でも何か違う。
日本語の「おかえり」には、
「待っていたよ」
「無事でよかった」
「ここがあなたの居場所だよ」
そんな意味が全部含まれている気がします。
そして、それに対する「ただいま」もまた特別です。
単なる挨拶ではなく、
「帰ってきたよ」
「迎えてくれてありがとう」
という気持ちが込められている。
日本語特有の温かさなのかもしれません。
ゲストハウスでの
“How was your day?”
も素敵な言葉です。
でも「おかえり」には、
その人の存在そのものを受け入れる力がある。
だからこそさわさんは涙が出たのだと思います。
そして私は、この話が今回のイベント全体を象徴しているように感じました。
正しさは一つじゃない
今回のお話を聞いて強く感じたのは、
「自分の正しさが世界の正しさではない」
ということでした。
マサイ族の屠殺も。
アフリカのサウナも。
人との距離感も。
時間の流れ方も。
日本とは違う。
でも、違うから間違いではない。
むしろ、その違いに触れることで、自分自身の当たり前が揺さぶられる。
それが旅の価値なのかもしれません。
そしてもう一つ。
動いている人には、本当に何かが起きるということ。
誕生日パーティーも。
ナイル川の源流も。
現地でできた友達も。
すべては「行ってみた」から始まっています。
不可能に見えることでも、動き続けることで景色が変わる。
今回のお話は、アフリカの話であると同時に、
「自分の世界を広げる方法」
を教えてくれる時間だったように思います。
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【前半】自分の目で確かめるアフリカ| 名称 | 新居浜アフリカ文化発信人 井上柚子 |
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