まいぷれ新居浜編集部ニュース
伊予銀行登道支店 2020年1月24日(金)に窓口での営業終了
新居浜の銀行としては随一の歴史を誇る「伊予銀行登道支店」。その登道支店の窓口での営業が、2020年1月24日(金)に終了します。
辿ると明治45年(1912年)からの歴史がある「伊予銀行登道支店」。
この度、利用者数の減少や国内情勢の変化等に伴い、2020年1月24日(金)をもって窓口での業務が終了し、事実上閉店します。
国内有数の工業都市として隆興を極め、労働者で溢れ返った戦前。全てを失いつつも皆明日を夢見て働き、日を増すごとに豊かになり、モノが飛ぶ様に売れたという戦後。大型店・チェーン店進出の波と価格競争の激しい波が襲い、モノと人の流れが大幅に変化した平成・現代。
その3つの時代の栄枯盛衰を、新居浜の繁華街「本町通り・昭和通り・登道」で、銀行という立場から見つめてきました。
そんな新居浜市繁華街のランドマーク的存在の消滅が、新居浜の商業史に与える影響は大きいと思います。
現実的な話では、登道支店の口座を持っている方はどうなってしまうのでしょうか?
登道支店の長い歴史の一端もご紹介しつつ、解説します。
厳密に言うと閉店ではなく移転
伊予銀行登道支店。
現在の建物は昭和32年2月に竣工した。
確かに2020年1月24日(金)に現在の場所での窓口営業は終了となりますが、「登道支店」(店番号261)という名称は残り、すぐ近くの新居浜支店内に翌週1月27日(月)に移転するという事です。
その為、登道支店の口座を窓口営業終了後に持っていても、これまで通り支障無く使用でき、口座番号の変更もありません。
特別な手続きがある場合でも、新居浜支店が対応窓口となるので大丈夫です。
現在の登道支店の基本情報
伊予銀行 登道支店(2020年1月24日(金)まで)
- 店番号
- 261
- 住所
- 〒792-0013
愛媛県新居浜市泉池町9-26
- 電話番号
- 0897-33-1555
- 窓口営業
- 平日 9:00~15:00
- ATM営業
- 平日 8:45~19:00
土曜 8:45~17:00
日祝 8:45~17:00
新しい登道支店の基本情報
伊予銀行 登道支店(2020年1月27日(月)から)
- 店番号
- 261
- 住所
- 〒792-8614
愛媛県新居浜市繁本町5-20
伊予銀行新居浜支店内
- 電話番号
- 0897-33-8111
- FAX番号
- 0897-33-2350
- 窓口営業
- 平日 9:00~15:00
- ATM営業
- 平日 8:00~21:00
土曜 8:45~21:00
日祝 8:45~21:00
※住所や電話番号は、新居浜支店と同一になります。
ATMは引続き稼動します
キャッシュコーナー(ATM)は、2020年1月25日(土)以降も稼働を継続します。
ただし、稼働台数が1台に減り、ATMの硬貨入金・一部入金・現金振込機能は利用できなくなるそうなので、ご注意ください。稼働時間に変更は無いとの事です。
その他、給料や年金の受け取り、支払いの引き落とし等、口座番号に変更はありませんので、そのまま使えます。
お問い合わせ
もうすぐ見納め! 昭和の銀行の雰囲気漂う店内
伊予銀行さんにお願いして、営業中の登道支店店内を撮影させていただきました。
建物1階の殆どを占める窓口スペース。
少し高い天井が特徴です。
レトロフューチャーを思わせる面白い天井装飾。
実はこの裏側にも歴史が隠されています。
カウンターのすぐ手前には各種書類の記帳台が。
どの台にも入金・出金・税金支払いの為の書類がずらりと置かれています。
今ならキャッシュカード1枚で済む時代、登道支店の窓口では今でもこれらのニーズが高い様に見受けられました。
待合スペースと事務スペースとの間に無駄な障壁が無く、店内全体に開放感が溢れています。
そんな業務フロアの奥に鎮座するのは銀行の要、金庫です。
この狭い空間の中に、銀行としての要素が凝縮されています。
応接室のパーティションに使われている昭和レトロなガラス。
「4ミリ石目」という商品らしく、当時は流行の最先端だっだのでしょうか?
カメラは業務フロアを越え、昔営業部門等があったという2階へ。
ほとんど空室や一部倉庫として使用されている状態で、普段誰も立ち入っていないそうです。
こちらは宿直室兼更衣室。
畳敷きで薄暗く、雰囲気満点です。
2階で最も特徴的なのはこの場所。
空調ダクトがむき出しになり、たくさんのワイヤーが吊るされています。
少し前に1階の窓口スペースの天井が特徴的だと書きましたが、ここがまさにその天井裏。
つまり今の天井は空調が導入された時に後付けされた物で、この写真の上に見えているのが本来の天井です。
当時を知るの銀行員の方によると、昔は1階から2階まで吹抜けになっていて、2階にはそのスペースを囲む様に回廊があり、そこからよく幼稚園児や小学生が、銀行業務の様子を社会科見学していたそうです。
昭和生まれの新居浜の人なら記憶にある方もおられるのではないでしょうか?
それにしても、建設当時は相当モダンな建物であった事が伺い知れます。
2階の倉庫には歴史を感じさせる物がたくさん。
こちらは2007年(平成19年)に、登道支店開店30周年を迎えた際の掲示物です。
スイッチ等の設備も建設当時のままで残されている所も多く、大切に使われてきた事が分かります。
明治45年から続いてきた登道支店の歴史
1階窓口スペースの一角にはロビー展として、登道支店の歴史が懐かしい昭和通り・登道の写真と共に紹介されています。
登道支店の歴史は、明治45年(1912年)に伊予銀行の前身である「今治商業銀行」が、新居浜出張所として開設したものが始まりです。
その当時支店のあった場所は、現在の場所より北側の、昭和通りができる前に繁華街であった「本町通り」沿いでした。
登道支店の歴史
- 明治11年(1878)
前身の第二十九国立銀行、第五十二国立銀行設立。
- 明治29年(1896)
前身の今治商業銀行設立。
- 明治45年(1912)
新居郡新居浜町大字西町甲986番地に、今治商業銀行新居浜出張所(のちに支店)が開設。
- 大正6年(1917)
新居郡新居浜町大字西町甲1006番地に、五十二銀行新居浜出張所として開設。
- 大正14年(1925)
五十二銀行新居浜出張所、支店に昇格。
昭和10年頃当時の五十二銀行と今治商業銀行の配置関係。
- 昭和16年(1941)
今治商業銀行、松山五十二銀行、豫洲銀行の3行が合併し伊豫合同銀行創立。
伊豫合同銀行新居浜支店となる。
また合併により今治商業銀行新居浜支店は伊豫合同銀行新居浜東支店として継承される。
- 昭和19年(1944)
新居浜東支店の廃止により、その業務を新居浜支店が継承。
- 昭和26年(1951)
商号変更により「伊豫銀行」としてスタート。
伊豫銀行新居浜支店と改称。
- 昭和32年(1957)
新居浜市字殿の前甲919番地の3(現在の場所)に新築移転。
- 昭和40年(1965)
新居浜市泉池町9番26号と所在地名変更。
- 昭和52年(1977)
新居浜支店を登道支店と店名変更。
新居浜市繁本町5番20号に(新)新居浜支店を開設。
(伊予銀行五十年史より)
昭和通りと登り道の交差点に位置し、新居浜の商業の歴史を常に見つめてきた登道支店。
おわりに
社会に利益を生み出し続けてきた働く世代の減少、延々と続くゼロ金利政策、地方の人口減少による預金高の減少。
さらに政府が強力に推し進めている「キャッシュレス決済」の普及によって、地方銀行は新たな転換の時を迎えています。
大手も含めた多くの金融機関が店舗再編を進めている中で、歴史ある登道支店も移転という形で再編される事となりました。
これら窓口を併設する支店がすぐ近くにある事の安心感という所では名残惜しい気もしますが、国策も絡めた時代の流れであり、人口減少や高齢化が進む中、止むを得ない判断であったのではないかと思います。
登道支店が現在の場所での窓口営業を終了しても、約40年前に登道支店の流れを汲んだ繁本町の「新居浜支店」がこれからも新居浜の主要支店として存在する限り、登道支店の歴史は終わる事は無いでしょう。
また私達メディアも、支店が無くなる事によって「窓口以外での預金の引き出し方が分からない」という様な『金融弱者』を生み出さない為に、新しい決済の仕組みを絶えず紹介する等の取組みが必要であると考えます。
伊予銀行の皆さん、取材のご協力ありがとうございました!