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町のドクターに聞く「健康豆知識」

Vol.4『認知症について』(後編)

新居浜市内のお医者さんから、季節ごとの病気やケガへの対策や対応方法、健康促進のための情報をお聞きします。

今回のテーマ
認知症について知る
(後編)

たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック
院長 谷到

たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック

脳神経外科、内科、ものわすれ外来

24時間電話対応! 気になる症状がある時はいつでもご相談を!

新居浜市郷2-1-10

今回のコラムは後編です。

前回の内容は「認知症について知る(前編)」のページをご覧ください。

はじめに

認知症を発病する原因は、現在いくつか有力な説が立てられています。
少し専門的な話になりますが、脳の中で「アミロイドβたんぱく」や「レビー小体」という物質が、神経細胞の周囲に沈着すると炎症が起こります。すると、細胞自体が壊れてしまい、結びつきがうまくいかなくなります。その結果、認知症を発病すると言われています。

ただ、この説をもとに特効薬がもう何年も作られていますが、まだ成功例はないようです。こうしたことから、私はこの説だけでなく他にも要因があると考えています。

その一つが「フレイル」と呼ばれる状態ではないかと思っています。

「ものわすれ」について

フレイルとは、英語の「Frailty(フレイルティ)」を語源にした言葉で、直訳すれば「虚弱」といった意味になります。加齢とともに誰にでも訪れる心身の活力低下や、社会的な立場の変化など、広い意味で老年期の衰えを指す言葉として、2014年に日本老年医学会が提唱しました。

 

図1.フレイルの多面性

・身体的フレイルは、老衰、老化、変形性関節症、腰痛、歯周病など

・精神的フレイルは、うつ、不安、失敗体験、Loss体験など

・社会的フレイルは、核家族化が進んだことによる家族関係の変化、独居など

私は、これらの要因が複雑に絡み合い、認知症が生み出されていると考えています。

実際、家族が近くにいてコミュニケーションがあり、優しい雰囲気・環境を作り出せている場合は、認知症は軽度なままで生活に支障なく過ごされている方が大勢います。家族が近くにいない場合でも、好きなことをやり、腰などが痛くても前向きに生きておられる高齢の方は軽度な認知機能低下はみられても、認知症までは至っていません。

一方で、遠く離れて暮らす子世代の方が、しばらくぶりに帰ってきた実家で親世代をみて、最近の様子の確認もせずに、頭ごなしに危ないからといろいろな活動を取り上げてしまうことがあります。最近の車の逆走や認知症のニュースを見て親を心配する気持ちからの行動ですが、認知機能の低下という面においては、かえって状態の悪化を招く場合があります。

車の免許しかりですが、親世代が自信を無くし、子供の顔色をうかがいながら病院を受診し、不安な気持ちが強くなってしまった結果「うつ」を発症して認知症になってしまう例もよく見かけます。

確かに、高齢の方にとって危険な活動や作業はあるかもしれません。

しかし、海外の文献では100歳まで仕事をしている人は認知症にならないと報告されている例もあります。手前味噌な話になりますが、私の祖父も愛媛県で103歳まで認知症にほとんどなることなく生きていました。80歳で世界一周船旅行、祖母が亡くなった後の88歳でハワイ旅行、94歳まで車の運転もしていました。

一定の年齢を過ぎたからと言って何でもあきらめてしまう必要はないと考えます。

最近の自動車運転をめぐる状況を見ていると、運転に関する機械的なサポートは今まで以上に必要であると考えますが、新居浜市のように公共交通網が十分に発達しているとは言えない地域は全国にたくさんあります。そうした地域では、免許返納は活動的な生き方を制限してしまう場合もあり、早計の可能性が高いと考えます。

「MCI」について

不安を抱かせない楽しい環境づくり家族での楽しいコミュニケーションが一番です。

認知症の患者さんにとって、真面目な顔の人は怖い存在でしかなく、いつも小言を言う人は「敵」と判定してしまいます。敵判定をされると、徘徊やモノとられ妄想、暴言など、さらに厄介な状態に進みかねません。

これを読んでいる子供世代の皆さんは、もし、将来介護をしたくないのなら、親御さんが連絡してこないうちに一度自分から電話をしてみましょう。さらにサプライズで実家に帰ってみましょう。

おかしな言動や、おかしな行動があると感じたら、それを冗談風に指摘してみてください。本気でキレて言い返してくるようでしたら、まっすぐ応対せず、一度病院にご相談ください。元々の性格にもよりますが、怒りっぽさの現れは、認知症が始まり出しているサインです。

認知症を予防する生活習慣

  • 人とのコミュニケーションある生活
  • できるなら食事は大勢で楽しく
  • 痛みをともなわない程度の運動
  • 就寝前にコップ一杯
  • バランスの良い食事
  • 一日に緑茶2杯以上
  • よく笑おう
  • 読み書き、歌うのもいいですね
  • 一人でパズルや、孫と一緒にゲームに参加
  • 前向きに、人と比べない、不安を溜めない

代謝が落ちてくる30代以上の方は、上でもご説明した「フレイル」にならないよう、身体と心と社会的な健康に注意して生活設計をすることが将来の認知症予防に繋がります。

高血圧、糖尿病はいまや若者の病気となっています。

高血圧は、脳出血や腎不全に関係し、糖尿病や高コレステロール血症、脱水は脳梗塞の危険性が高まります。

脳卒中などの病気も若年齢化している傾向で、くも膜下出血などは、喫煙や運動が影響しています。

これらの疾患は正しく管理すれば一生付き合う必要はありません。若いうちから、正しい知識を身につけ、予防していくことが大切です。

いつまでも楽しい人生設計をするために、身体について何かおかしいことがあったり、健康診断で異常が出たりしたときには、どうぞ当院へご連絡ください。24時間体制で電話を受け付けておりますので、休みを返上せずとも、連絡さえしていたければ、18時以降も診察可能です。検査にも対応します!

■ものわすれの検査

当院では、「ものわすれ」の程度を調べる検査をします。

ものわすれにも、言葉、単語(人や物の名前)を忘れるタイプから、 生活に支障が出るタイプまで、様々な症状があります。生活に支障のない程度のものわすれであれば、基本的に心配ありませんが、一人暮らしに支障が出るものわすれが出始めたら認知症に変わってきているサインです。

いずれにしても、心配なことがあれば、まずはご相談ください。保険適応です!

■MCIの検査

コラム前編でお話したMCI(軽度認知機能障害)を調べる検査もできます。こちらは、採血による血液検査です。都市部では、2~3万円以上からが相場の検査ですが、当院では1万5千円ほどで実施しています。

保険適応外で実費がかかるため、こちらの検査を就職祝いや、父の日、母の日のプレゼント代わりに手配される方もいます。

まだ具体的な症状はない30代~40代の方にとっても、ご自身の認知症リスクが高いかどうかの判断材料になります。早期発見、早期の生活改善のためにもおすすめです。ぜひご相談ください。

たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック
院長 谷到

たに脳神経外科・内科・ものわすれクリニック

脳神経外科、内科、ものわすれ外来

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